毛ガニの基礎知識

毛ガニの基礎知識

<毛ガニの特徴>
毛ガニは最大で甲長120mmに達し、オスの方が大型になる。
全体的にずんぐりした印象で、体は全身が淡赤褐色で、体を覆う殻はあまり硬くはないが、
短い剛毛が密生し、和名はこれに由来する。
毛ガニの甲羅はわずかに縦長の円形で、鋸の歯のような棘が両眼の間に4つ、甲羅の側面に7つある。
歩脚は太く、甲羅と同様に短い毛と棘が密生する。
鋏脚は歩脚よりさらに短く、太さも棘も歩脚と同じくらいである。

 

<毛ガニの分布>
毛ガニは、日本海沿岸、茨城県以北の太平洋岸からアラスカ沿岸まで、
太平洋北西部とその縁海に広く分布し、水深30-200mほどの砂泥底に生息する。
<毛ガニの生態>
毛ガニのオスの脱皮周期は1年、メスの脱皮周期は2年または3年である。
食性は肉食性で、多毛類、貝類、他の甲殻類、小魚などのベントスを捕食する。
一方、毛ガニの天敵はオオカミウオやミズダコなどである。

第9齢期以降に生理的な成熟を迎え、メスは交尾後に3万粒から6万粒を産卵(受精)し、
産んだ卵は他のカニと同様に腹脚に抱えて保護する。
交尾後は、交尾栓が形成される。
受精から孵出(放出)するまで1年程度かかり、13ヶ月から16ヶ月おきに産卵する。

北海道では3月から4月に孵出(放出)された幼生は、
他のカニと同様にゾエア期に放出されメガロパ期を経て3ヶ月程度で第1齢期に達し着底する。

なお、多くの齢期での繁殖期は春であるが、
脱皮周期の関係で冬に繁殖を始めるものも少数存在する。

毛ガニの交尾や孵出時期は生息域の海水温により変動するが、データは少なく解明は進んでいない。

毛ガニのメスは産卵後しか脱皮できないため、オスより成長が遅れる。
繁殖力も低く、乱獲されるとなかなか漁獲量が回復しない。

 

<毛ガニの漁獲>
毛ガニの漁期及び漁法は資源保護の観点から制限されているが、
自治体や漁協の自主規制により漁獲可能な時期と漁法、漁獲量は異なる。
北海道では、カニ篭漁で漁獲され甲長8cm以上のオスのみの漁獲が許可される。
甲羅の柔らかい(軟甲ガニ)ものは捕獲せず放流する。

近年では、抱卵しているメスを捕獲し、孵出した幼生を稚ガニまで育成した放流も行われている。
ハナサキガニなどと同様に、漁獲対象となるのは甲長8cmを越えるオスだけであるため、
雄雌比に著しい偏りが生じている。

結果、安定した繁殖に影響を与えていると考えられる。

漁期は、北海道全体を見渡した場合、ほぼ通年。
ただし漁獲場所は異なり、春はオホーツク海、夏は噴火湾、秋は釧路および根室沿岸、冬は十勝沿岸となる。

 

<毛ガニの食用状況>
毛ガニの分布域ではズワイガニやタラバガニなどと並ぶ重要な漁業資源で、おもに籠漁で漁獲される。

塩茹でや焼き物、缶詰などに加工され、身をほぐして色々な料理に使われる。
ズワイガニやタラバガニに比べると体が小さく可食部も少ないが、
食味に大変優れ身に甘みがあり、カニミソの量が多い。

北海道を代表する食材となっている。

トゲクリガニの貝毒発生水域で捕獲される個体は、
肝膵臓部(カニミソ部)に有毒成分を蓄積することがある。
これは、動物質の餌を多く摂食していることによる。
この報告により厚生労働省は2004年4月に「トゲクリガニなどの二枚貝等を捕食する生物について、
肝膵臓部あるいは可食部で毒性分が4.0 MU/gを超えるものを食品衛生法違反とする」ことを決定している。

但し、2004年まで麻痺性貝毒により毒化したカニによる健康被害は報告されていない。