ズワイガ二の基礎知識

ズワイガニ(楚蟹)の基礎知識

ズワイガニは、深海に生息する大型のカニで、重要な食用種でもある。

ズワイガニの「ズワイ」とは、
細い木の枝のことを指す古語「楚(すわえ、すはえ)」が訛ったものである。

漢字では津和井蟹とも書かれる。
<ズワイガ二の生態>
ズワイガ二は、山口県以北の日本海と、
茨城県以北からカナダまでの北太平洋、オホーツク海、ベーリング海に広く分布する。

水深50~1200mほどの砂泥底に生息するが、
おもな生息域は水深200~600mほどの深海で、水温は0~3度程度の水域を好む。

ズワイガ二の産卵期は、初産6~7月、経産2~4月。

深海域に生息するため、
脱皮、季節移動、寿命など生態の解明は十分におこなわれていないが、
オホーツク海での調査では、脱皮は春で季節により生息域が変化し、雄雌で生息水深が異なっていた。

食性は雑食性だが肉食が強く、貝類や多毛類などを捕食する。
また、海底に落ちた魚介類や海洋性哺乳類などの屍骸、脱皮した自分自身の殻も食べる。

産まれてから親ガニになるまでに約10年を要し11齢で漁獲可能サイズの90mmを超え、最終齢からは4年程度生存する。

最終齢までは脱皮すると損傷した足は再生する。

交尾後産卵された卵は、抱卵され(腹節の内面にある腹肢に付着)1年から1年半経過すると、孵化しプレゾエアとなり放出される。

放出後、親は短期間で再び産卵するとされている。
従って、成熟した雌は生涯の殆どの期間、卵を抱いている。
また、1回目の交尾のときの精子は、
雌の体内にある貯精嚢(受精嚢)に保存され少しずつ使用される。

飼育実験によると、ゾエア幼生からメガロパ幼生期の適正飼育水温は9~14度程度、
100日から120日で稚ガニとなり着底する。

2003年に若狭湾で行われた調査によれば、
雌ガニは66,000粒程度の卵を抱き、放出する。

放出数は高齢のカニほど減少する事が報告されている。
<ズワイガ二の特徴>
ズワイガ二の体色は全身が暗赤色をしている。

ズワイガ二の甲羅は三角形で、鋏脚と第5歩脚は短いが第2~4歩脚が長く、
大きなオスが脚を広げると70cmほどになる。

ズワイガ二のオスの甲幅は最大1cmほどだが、
メスはその半分くらいの大きさである。

メスが小さいのは、短期間に産卵、抱卵、幼生放出を繰り返すので脱皮ができないためといわれる。

オスとメスの大きさがあまりに違うためか、多くの地域でオスとメスに別の名前がつけられている。

エチゼンガニ、マツバガニ、ヨシガニ、タイザ(タイザガニ)などはオスを指し、
メガニ、オヤガニ、コッペガニ、コウバコガニ、セコガニ、セイコ(セイコガニ)、クロコなどはメスを指す。
<ズワイガ二の食用>
ズワイガ二は、冬の味覚として人気が高い。
体色は暗赤色だが、熱を加えると赤くなる。
塩茹でや蒸しガニ、カニ鍋(カニスキ)などで食べられ、新鮮なものは刺身にしても食べられる。
缶詰などの原料にもなる。

上品で甘みがある肉とこってりした味の中腸腺(カニミソ)、メスの卵巣(内子)も食用にする。

甲羅によく付着している黒いつぶつぶはカニビルの卵で、
これが付着しているカニは脱皮後の時間が長いことを示しており、身入りが良い証拠とされることもある。
ズワイガニは冬の味覚の王様といわれるほど人気が高い食材であり、
関西地方では、旅行代理店などが温泉地と結びつけたツアーを商品として扱っている。

北海道・北近畿・北陸・山陰にはズワイガニ需要によって発展した温泉地も多い。

これらの温泉地は冬場に最も集客が見込める。

一部の地域の漁港ではズワイガニをブランド化する動きもあり、
脚に色違いのタグを取り付けるなど販売に力をいれている。
ブランド化はズワイガニとは異なるカニであるとの誤解を消費者に与える場合がある。

地域ブランドの一例

☆松葉ガニ
☆越前かに
☆間人ガニ(たいざガニ)
☆津居山ガニ
☆加能ガニ(かのうガニ)

花咲ガニの基礎知識

ハナサキガニ(花咲蟹)の基礎知識。

タラバガニの近縁種で食用に漁獲される。
名前に「カニ」とあるが、ヤドカリの仲間に分類される。

甲幅・甲長とも15cmほどで、甲殻類としては大型だがタラバガニほどではない。
甲は後部中央が少しへこんだハート型をしている。
また、タラバガニよりも体のとげが長く、脚は太く短い。

和名の「ハナサキ」は、
漁獲地となっている根室の地名「花咲」に由来するとする説が有力であるが、
茹でたときに赤くなって花が咲いたように見えることからとする説もある。

また、コンブの生えている海域に生息することから、コンブガニの別名もある。
<花咲ガニの分布>
花咲ガニの分布範囲は、
ベーリング海からオホーツク海沿岸、サハリン、千島列島で、
北海道周辺では納沙布岬から襟裳岬付近の太平洋側と、根室半島のオホーツク海側に分布する。

漁獲の中心は納沙布岬周辺海域が中心となる。
近縁のタラバガニ、アブラガニと比べると狭く、分布する水深も200m程度までと浅い。
<花咲ガニの生態>
花咲ガニは、4月下旬から7月に産卵を行い、1年間の抱卵の後、放出される。

幼生の孵化は3月下旬から4月中旬で、
6月にメガロパ幼生となり7月を過ぎた頃に第一齢稚ガニ(2.2mm程度)となって着底し、

1年後に10mm程度、2年後に20mm程度に成長する。

孵化から、3年程度は潮位変化により露出する潮間帯域に生息し潮溜まりなどで見ることもある。

その後は、水深50mから200m程度の海域に移動すると考えられ、
花咲ガニのメスは孵化後6年(19齢期)で成熟する。

採集した個体の調査から、動物質の餌ではなく主にナガコンブ、サンゴ藻科のピリヒバを食べていると考えられる。
<花咲ガニの利用と放流>
花咲ガニは、タラバガニやアブラガニと同様重要な食用種で、沿岸域では盛んに漁が行われる。

200海里制度導入以前の1977年以前は年間1000トン程度の漁獲高があったが、

現在では100トン程度である。

かつて、花咲ガニは、乱獲による資源減少のため1981年から3年間の禁漁が行われ、
同時に人工育成種苗(放流用)の開発が行われた。現在では人工育成種苗が放流されている。

かつては漁期漁法に制限はなく捕獲されていたが、
1968年(昭和43年)からは漁獲量制限を行い、
10トン以下の漁船によるサンマを餌としたカニ篭漁により捕獲される。

漁期は漁協により異なるが釧路では3月15日から7月31日まで、根室では7月から9月。

主要漁場は水深30~50mで漁獲対象となるのは甲長8cmを越えるオスだけであるため、
雄雌比に著しい偏りが生じている。

結果、安定した繁殖に影響を与えていると考えられる。
<花咲ガニの料理>
漁期の関係から旬は夏から秋。
殻が硬くて棘も多いので、殻を剥く際はキッチンバサミなどの使用が望ましい。

大味と評されることもあるが、脚の肉が太く身も多い。

ただし油分が多く味が濃厚であることから大量に食べるには向かないとも言われる。

とくに刺身など生で食べる場合は油分に加え、独特の甘い香気があるため尚更である。
塩焼、塩茹でなどの他、脚のぶつ切りを味噌汁に入れた「鉄砲汁」なども作られる。

毛ガニの基礎知識

毛ガニの基礎知識

<毛ガニの特徴>
毛ガニは最大で甲長120mmに達し、オスの方が大型になる。
全体的にずんぐりした印象で、体は全身が淡赤褐色で、体を覆う殻はあまり硬くはないが、
短い剛毛が密生し、和名はこれに由来する。
毛ガニの甲羅はわずかに縦長の円形で、鋸の歯のような棘が両眼の間に4つ、甲羅の側面に7つある。
歩脚は太く、甲羅と同様に短い毛と棘が密生する。
鋏脚は歩脚よりさらに短く、太さも棘も歩脚と同じくらいである。

 

<毛ガニの分布>
毛ガニは、日本海沿岸、茨城県以北の太平洋岸からアラスカ沿岸まで、
太平洋北西部とその縁海に広く分布し、水深30-200mほどの砂泥底に生息する。
<毛ガニの生態>
毛ガニのオスの脱皮周期は1年、メスの脱皮周期は2年または3年である。
食性は肉食性で、多毛類、貝類、他の甲殻類、小魚などのベントスを捕食する。
一方、毛ガニの天敵はオオカミウオやミズダコなどである。

第9齢期以降に生理的な成熟を迎え、メスは交尾後に3万粒から6万粒を産卵(受精)し、
産んだ卵は他のカニと同様に腹脚に抱えて保護する。
交尾後は、交尾栓が形成される。
受精から孵出(放出)するまで1年程度かかり、13ヶ月から16ヶ月おきに産卵する。

北海道では3月から4月に孵出(放出)された幼生は、
他のカニと同様にゾエア期に放出されメガロパ期を経て3ヶ月程度で第1齢期に達し着底する。

なお、多くの齢期での繁殖期は春であるが、
脱皮周期の関係で冬に繁殖を始めるものも少数存在する。

毛ガニの交尾や孵出時期は生息域の海水温により変動するが、データは少なく解明は進んでいない。

毛ガニのメスは産卵後しか脱皮できないため、オスより成長が遅れる。
繁殖力も低く、乱獲されるとなかなか漁獲量が回復しない。

 

<毛ガニの漁獲>
毛ガニの漁期及び漁法は資源保護の観点から制限されているが、
自治体や漁協の自主規制により漁獲可能な時期と漁法、漁獲量は異なる。
北海道では、カニ篭漁で漁獲され甲長8cm以上のオスのみの漁獲が許可される。
甲羅の柔らかい(軟甲ガニ)ものは捕獲せず放流する。

近年では、抱卵しているメスを捕獲し、孵出した幼生を稚ガニまで育成した放流も行われている。
ハナサキガニなどと同様に、漁獲対象となるのは甲長8cmを越えるオスだけであるため、
雄雌比に著しい偏りが生じている。

結果、安定した繁殖に影響を与えていると考えられる。

漁期は、北海道全体を見渡した場合、ほぼ通年。
ただし漁獲場所は異なり、春はオホーツク海、夏は噴火湾、秋は釧路および根室沿岸、冬は十勝沿岸となる。

 

<毛ガニの食用状況>
毛ガニの分布域ではズワイガニやタラバガニなどと並ぶ重要な漁業資源で、おもに籠漁で漁獲される。

塩茹でや焼き物、缶詰などに加工され、身をほぐして色々な料理に使われる。
ズワイガニやタラバガニに比べると体が小さく可食部も少ないが、
食味に大変優れ身に甘みがあり、カニミソの量が多い。

北海道を代表する食材となっている。

トゲクリガニの貝毒発生水域で捕獲される個体は、
肝膵臓部(カニミソ部)に有毒成分を蓄積することがある。
これは、動物質の餌を多く摂食していることによる。
この報告により厚生労働省は2004年4月に「トゲクリガニなどの二枚貝等を捕食する生物について、
肝膵臓部あるいは可食部で毒性分が4.0 MU/gを超えるものを食品衛生法違反とする」ことを決定している。

但し、2004年まで麻痺性貝毒により毒化したカニによる健康被害は報告されていない。